長勝久

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長勝久

栃木・妻他殺害事件

  • 経緯- 昭和63年11月19日、人材派遣業・長勝久(当時22歳)は、夫の暴力に耐え切れず栃木県小山市の実家に戻っていた妻の千秋さん(当時18歳)とよりを戻すため復縁を迫った。だが、千秋さんが断ったため、激怒した長が千秋さんの首を絞めて絞殺した。その後、千秋さんの遺体は、長の祖父宅に運び長の指示で父親が野菜畑に埋めた。

長は千秋さんを殺害後、同市に住む知人で工員の和田三喜男さん(当時26歳)のアパートに潜伏した。その直後から、長は和田さんの態度が気に入らないと暴力を振るうようになり、翌年の平成元年11月頃、頭などを殴って殺害した。この時も、長は父親に指示して遺体を野菜畑に埋めた。平成2年7月頃、遺体が発覚するのを恐れた長は、父親に再度指示して2人の遺体を掘り出して焼却。その後、再び遺骨を野菜畑に埋めた。

平成8年5月になって、長は別の傷害容疑で神奈川県警に逮捕された。県警は長への取調べの中で、妻の千秋さんが失踪していることや数々の不審な点を厳しく追及した結果、千秋さん、和田さん2人の遺体遺棄を認める自供を得た。

神奈川県警は、栃木県警に連絡を取り、長の供述内容の裏付けを依頼した。その結果、長の自供通り千秋さんの遺骨が野菜畑から出てきたため神奈川県警は改めて長を殺人容疑で再逮捕した。尚、和田さんの遺骨は今日現在まで発見されていない(平成19年3月現在)。

  • 公判- 長は当初から、「遺体を埋めたことは事実だが2人とも突然、体調が悪くなったもので、気づいたら死んでいた」として殺人を否認した。だが、平成13年12月18日宇都宮地裁は長に死刑を言い渡した。平成15年9月10日東京高裁は長の控訴を棄却して一審判決を支持。平成18年10月12日最高裁は、「確定的な殺意に基づく残忍な犯行で、動機に酌むべき点は見当たらない」と断じて長の上告を棄却。長に死刑が確定した。

この事件は、物証がほとんど無く、証言の信用性が争われた。長の父親は捜査段階では、「(妻に)男ができたので首を絞めて殺してしまった。遺体を埋めて欲しい」と息子から言われたことを自供していたが、公判では一転して長とのかかわりを一切否定した。だが長と同居していた女性が、和田さんに対する執拗な暴行の様子を証言したことが決め手となり、「確定的殺意」を認めて死刑を言い渡した。尚、父親の遺体遺棄容疑に関しては時効が成立し不起訴処分となった。

長勝久 事件当時年齢  22歳 犯行日時  1988年11月/1989年11月 罪 状  殺人、傷害 事件名  栃木・妻と知人殺人事件 事件概要  長勝久被告は1988年11月中旬、長被告の暴力に耐えきれずに栃木県の実家に戻っていた妻のCさん(当時18)とよりを戻そうとしたが、断られたため逆上。首を絞めて殺害した。また、1989年11月ごろ、栃木県小山市のアパートで同居していた工員Wさん(当時26)を態度が気に入らないなどと、殴るけるなどの暴行を加えて殺害した。  長被告は2人の遺体を実父に指示し、栃木市内の祖父(92年8月死亡)方の野菜畑と花壇に埋めさせた。実父は1990年7月、長被告の指示を受けて2人の遺体を掘り出し、祖父が焼却して遺骨を再び埋めた。  長被告は、Cさんの事件後に失踪。1996年5月、神奈川県警に別の傷害容疑で逮捕されたのがきっかけで、Cさんの遺体が見つかった。Wさんの遺体は、まだ見つかっていない。  他に、経営していた風俗店の従業員2人に対する、7件の傷害罪がある。 一 審  2001年12月18日 宇都宮地裁 肥留間健一裁判長 死刑判決  【判決文】(「裁判所ウェブサイト」内のPDFファイルが開きます。リンク先をクリックする前に、注意事項をご覧下さい) 控訴審  2003年9月10日 東京高裁 白木勇裁判長 控訴棄却 死刑判決支持 上告審  2006年10月12日 最高裁第一小法廷 才口千晴裁判長 上告棄却 死刑確定 拘置先  東京拘置所 裁判焦点  長被告は2人の遺体を埋めたことは認めたが、殺人については「2人とも突然、体に変調を起こし、気がついたら死んでいた」などと否認。弁護側は被告が二人の死に関与したことを認めたうえで殺意がなかったと主張した。  2件の殺人事件については物証がほとんどなく、証言の信用性が最大の争点だった。長被告の妻殺害について、実父は「息子から『男ができたようなので首を絞めて殺してしまった』と話され、遺体を埋めることを頼まれた」と捜査段階で話した。だが、公判に入ると実父の発言は一変し、事件と長被告とのかかわりを否定する発言に終始した。しかし、判決は長被告の確定的殺意を認めた。Wさん殺害は長被告の同居女性が「地獄のようだった」などと、執ように暴行を加える様子を詳細に話し、これが信用性があると認められた。その上で、死に直結すると気付きながら暴行を加え続けたことに対し「未必の殺意」があったとして、傷害致死を適用しなかった。  また肥留間裁判長は長被告に対して「変化が著しく疑問も多い。殺害を否定する供述は信用できない」と厳しく断じた。

 二審でも長被告側は殺人について無罪を主張。弁護側は同居女性の証言に信用性はないとして争ったが、白木裁判長は「証言の信用性を疑わせる事情は全くない」と退けた。そして白木裁判長は「反省の態度を見せない被告はもはや矯正困難であると断じざるを得ない」と述べた。

 上告審弁論で弁護側は「原判決には重大な事実誤認がある」「殺人罪の成立を認める客観的証拠はない」などと破棄を主張。一方、検察側は「凶悪、重大な犯罪で原判決は正当だ」などと上告の棄却を求めた。  才口千晴裁判長は「被告と別れたがっていた妻に加え、服従させていた男性も虐待の末になぶり殺した。非人間的で責任は極めて重大。遺族の被害感情も厳しい。生命に対する尊重を欠く傾向は根深く、犯行当時若年だったことなどを考慮しても死刑はやむを得ない」と判決理由を述べた。  また「2人の尊い生命を奪った結果は極めて重大。その後も同様の傷害事件を重ねており、人の生命や身体を尊重しない傾向は非常に根深い」と述べた。妻殺害について「確定的な殺意に基づく残忍な犯行で、動機などに酌むべき点はない」と指摘。知人男性に虐待を繰り返して死亡させた点は「なぶり殺しにほかならず、非人間的で冷酷、非情というほかない」と断罪した。 備 考  実父は死体遺棄の公訴時効が成立し、起訴されなかった。 現 在/center>  2009年、再審請求。